REPORT
レポート

車屋 井坂料理長インタビュー&試食会

車屋 井坂料理長インタビュー&試食会

REPORT レポート

11月18日の「拝島ねぎ特別会席」イベントに向けて試食会が行われ、気になるメニューが紹介されました。たっぷり2時間ほどかけて、事務局メンバーやガイドの大竹道茂先生、ホテルの関係者が当日と同じメニューをいただきました。実際のメニューをご紹介しながら、車屋で40年間腕をふるい続ける井坂雅次料理長へのインタビューをお届けします。

―― 今回「拝島ねぎ特別会席」で最も苦労したのはどんな点でしょうか。

井坂料理長「最も難しかったのは、拝島ねぎを随所に使うということです。実は、日本料理の献立には、同じ食材を重ねてお出しするという考え方はありません。日本料理の会席は前菜に始まり、お椀、お造り、焼物、煮物、お食事からデザートまで、食材、味、食感、見た目もそれぞれ異なるようにして、季節感あふれる彩り豊かな物語を感じさせるように一連の流れを創作していくからなんです。ですから今回最も苦労したのは、拝島ねぎを随所に使いながらも、一品のねぎ専門料理店ではない日本料理店として『どれだけ多彩な表情で、お客様を飽きさせない会席にできるか』ということでした」


△試食会の様子

―― なるほど。私も試食会でいただいてみて、食べ始めこそ拝島ねぎを意識しましたが、すぐに「日本料理そのもの」に対する驚きに変わりました。デザートを除くすべてに拝島ねぎが使われているとは思えないほどのバラエティで、でも、確かに素材は活きているんですよね……こんなに多彩な世界が創造できるのが日本料理なのかと。

井坂料理長「今まで培った私たちの日本料理の技術をもとにイメージしながら、食味はもちろん、ある料理では香りを、またある料理では色彩を際立たせ、主役、あるいはお魚やお肉の名脇役として拝島ねぎを活かす……そんなふうに献立を考えていきました。
例えば前菜の酢味噌和えは、普段は細い浅葱(あさつき)などに、赤貝などの貝類を合わせることが多いのですが、今回は拝島ねぎを際立たせたいので、あえて魚介を控えて近江蒟蒻や粟麩などで、拝島ねぎの存在感を活かした酢味噌和えにしています。豆乳豆腐では香りを活かしてみたり、椀替りの風味蒸しでは青菜と共に餡にしたり……なかなか大変でしたが(笑)普段とは違う勉強にもなりました」


△〈前菜〉酢味噌和え 拝島葱 粟麩 近江蒟蒻 雲丹糝薯 身巻温燻 銀杏 豆乳葱豆腐 山葵 割醤油 公孫樹見立 ミモレット


△〈椀替り〉拝島葱風味蒸し 紅葉麩

―― お造りでは、「JAみどり」で作っている拝島ねぎドレッシングをアレンジしてお使いでした。地元との取り組みであるという車屋さんの想いがありつつも、そこからさらに井坂料理長の技でアレンジを加えて、まさに車屋でしか食べられない味になっているところには、お店のプライドも感じます。

井坂料理長「お造りでは、旬の脂ののった戻り鰹を藁焼きにして香ばしさを出し、サラダと一緒にお召し上がりいただくアイデアでドレッシングを活かしてみました。他にも、煮物の「海老芋葱味噌」では、JAさんの拝島ねぎみそをベースにしています。ただ、これらの商品は保存をきかせるために塩味が濃くできていましたので、車屋の味になるように調整を大きく加えています。特に味噌というのは、日本料理店がそれぞれに独自の配合をするものであり、そのお店の味を決める大切なものなんですよ」


△〈造り〉戻りかつお藁焼き サラダ仕立て 笹寿司 拝島葱ドレッシング


△〈煮物〉海老芋葱味噌 紅葉人参 青菜 ぜんまい飛龍頭 水辛子 振り柚子

―― 味噌の味は、お店の味……なるほど。あと、焼き物で拝島ねぎをどう使うかを考えるのが難しかったとお聞きしましたが。

井坂料理長「そうですね、焼き物でどう拝島ねぎを活かそうかと考えて、合鴨で巻いて南蛮焼きにしてみました」

―― 南蛮焼きは拝島ねぎと鴨の脂の甘みに唐辛子がきいて美味しかったです。柚庵焼きは杉板で包み焼きにしてあって、開けるとフワッと香ったので、しばらく香りを楽しみました。
南蛮焼き、柚庵焼きなど、日本料理の名前からは江戸時代のことも知ることができるので、江戸に興味のある私にとっては興味深くもありました。日本料理のことをもっと知りたくなります。


△〈焼物〉魚柚庵杉板焼 湯葉餅田楽 合鴨拝島葱南蛮焼 菊蕪靑 菊花 木の子 芽芋酢浸し 栗蜜煮

※南蛮焼き…江戸時代に南蛮と呼ばれたオランダ、スペイン、ポルトガルなどから伝わった調理法を取り入れた料理の総称。ねぎ、唐辛子、油を使うのが特徴。
※柚庵焼き…幽庵焼きともいい、江戸時代の茶人であり、食通でもあった北村祐庵が創案した、柚子の香りをつけたたれに漬けて焼いた魚の焼物。

―― さらに、お食事のふぐ雑炊は身がぷりぷりと大きくて、しかもたっぷり入っていたので、贅沢ですよね。実は会席料理は腹八分目で終わる……そんなイメージをもっていたのですが、お腹がいっぱいになりました。

井坂料理長「車屋の料理というのは美味しいことが第一で、さらには温かいものは温かく、冷たいものはきちんと冷たくお出しする、そして帰りに少し物足りなくなるようなものであってはならないという会社の方針があります。味と共に量もご満足いただければ嬉しいです」


△〈食事〉河豚雑炊 香の物


△〈デザート〉洋梨 林檎ワイン煮 小豆抹茶羹

―― デザートも秋の果物で締めていらして、会席全体を通して、目でも舌でも季節を深く味わえました。実りの秋から冬にかけての旬の食材にたくさん出あうことができて、日本料理はまさに日本の四季の中で生まれた料理だということ、その豊かさを改めて感じました。

井坂料理長「そうですね。日本料理というのは、四季の季節感だったり、器だったり、室礼(しつらい)だったり……日本の美意識が詰まった文化だといえると思います。時代がスピーディーに、カジュアルになってきても、こういう日本料理の文化というのは残していきたいですね」

井坂料理長の創る、このイベントでしか食べることのできない「拝島葱特別会席」をぜひ味わってみませんか。
11月18日(日)に開催する、第1回目の「拝島ねぎ収穫体験&一日限りの拝島ねぎ特別会席」イベントは、こちらからお申込みいただけます。定員がありますので、ご予約はお早めに。

保存保存保存保存保存保存

イベントの詳細・参加申し込みはこちらから