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【開催レポート】2/20  ひなまつりの室礼講座&車屋の行事食(後編)

【開催レポート】2/20 ひなまつりの室礼講座&車屋の行事食(後編)

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<前編はこちら>

「ひなまつりの室礼」実習を楽しみました

座学が終わると、席に配られた材料を使って、流しびなをイメージした「ひなまつりの室礼」を実際に盛ってみます。菱形の緋毛氈を敷き、まずは紅白の人形(ひとがた)を切っていきます。

そして鮑(あわび)の貝殻を中央の上の方に置いて、中に炒り米を敷き、お雛様をのせます。鮑は熨斗(のし)鮑として古来よりお祝いの贈答に使われていて、めでたい意味があるのだそう。

お雛様は一つひとつ、枝川先生と室礼研究会ゆずり葉のスタッフが手作りした、名付けて「ゆずり葉びな」。可愛らしいですね。


△ゆずり葉びな

そして上流に蛤の殻を置き、その中に「母子草」と「菜の花」を飾ります。「母子草」を飾るのは、後水尾天皇に入内した徳川和子(まさこ=東福門院)と娘の興子との「母と子の物語」があるから(物語はこちらのインタビューでご紹介しています)。そして菜の花を盛るのは、ぼんぼりの燈明の菜種油の代わりだそうです。

△菜の花を切って蛤の殻に盛っていきます

「人形(ひとがた)を流す川は、炒り米です。上流と下流を決める時は、“厄を流す”イメージで、下流が家の外へ向かうようにしてみてくださいね。そこに先ほど切った人形をのせます。

そして下流に古布で包んだ小さな蛤を置いてみてください。これは出産の安全を託しているので、もし妊娠した方が近くにいらしたら、ご自身で作ってお守りとして贈るのもいいですよ」と枝川先生。

△古布に包んだ小さな蛤

枝川先生と久保田先生がひとり一人にアドバイスしてくださいます。

完成したら、自分の室礼を撮影するのも楽しい時間です。さっそくSNSにアップしている参加者も。



車屋の行事食「ひなまつり膳」をいただく楽しいひととき

こうして2時間たっぷり室礼を楽しんだ後は、休憩をはさみ、お食事には「ひなまつりの行事食・ひなまつり膳」をいただきました。まずは昭和の森 車屋の井坂将次料理長から、皆さまにご挨拶。

「皆さまこんにちは。本日は車屋にお越しくださいまして、まことにありがとうございます。本日のお料理は、三月のひなまつりの時季に車屋でお出ししているお料理を、旬の食材、器やお花、掛け紙などで、さらにひなまつりらしくアレンジして創作しました。後ほど、興味のあったお料理についてはレシピなどお話しますので遠慮なくおっしゃってください。お時間の許す限りゆっくりとお過ごしくださいませ」。


△昭和の森 車屋 井坂将次料理長

乾杯は久保田裕子先生から。

「今、巷では子どものためでなく、大人の女性が自分のためのお雛様を買って、ひなまつりをするというのが静かに増えているようです。今日もそんな一日になるといいな、と思っています。今日ここで皆さまとご一緒できた縁(えにし)とひなまつりを祝いまして、乾杯!」

なごやかにお食事が始まりました。まずは前肴を原島支配人がご紹介。


△前肴

「右手に蓬豆腐。これは胡麻豆腐に蓬を混ぜたものです。上の花びらの形に抜いてありますのは、赤い方が赤ピーマンのゼリー、右が百合根です。下の蕗の薹味噌には胡桃も混ぜてございます。お雛様の器をお取りいただきますと小魚野菜南蛮漬の柑橘酢ゼリーです。こちらのお魚は小鯛、柑橘酢ゼリーは、かぼすぽん酢を使用しております」。


△お料理を紹介する原島副支配人

前肴には本物の桃の花の枝があしらわれていました。室礼講座を受講したとあって、皆さんお料理はもちろん、桃の花や器にも興味津々の様子。話が弾みます。

続いては、お椀です。


△椀

「椀の中に入っておりますのは、上下一対の蛤の貝殻を型にして作った白身魚の真薯です。中には蛤、あさりが入っております。真薯の下には新若布豆腐と言いまして卵豆腐に若布を入れています。色紙葱は花びらを散らしたように四角く切って浮かべてございます。蛤の上に花びら型に型抜きした人参と木の芽を添えました」と副支配人。

「蛤の形の真薯の中から、本物の蛤が出てくるなんて凝ってるわね」「おいしい」という声が聞かれました。

ひなまつりのかわいい演出に歓声

続いては口取り八寸です。お雛様の掛け紙は、口々に「かわいい」の声が。
「魚の白酒風味焼きのお魚はアコウ鯛でございます。白酒に卵白などを加えまして、上からかけながら焼いております」。


△口取り八寸

「左手にございますのが、うすい豆のすり流し。平たく申しますとヴィシソワーズにグリンピースで薄いグリーンの色を付けたものです。雛あられを添えてありますが、ひとつだけ大きいものが添えてあると思います。これは今日特別に、雛あられ風の“和風マカロン”をお作りしました。これはそのままお召し上がりください。そのほかの雛あられは、すり流しに浮かべますとクルトンのような感じでお召し上がりいただけます」。

“和風マカロン”と副支配人の紹介があった瞬間、わーっと歓声が上がりました。すり流しに雛あられを浮かべるというひなまつりの演出には「楽しいわね」「発想がすごい」という声も。

他には蛸と南瓜の煮物や、ローストビーフで菜の花を巻いてソースをかけたものなど、日本料理の中に洋風の要素が散りばめられたバラエティ豊かな口取り八寸でした。

新しい食材との出会いも

さて、お食事のちらし寿司が出る前に、ちょっと余興を……。

講座の中で枝川先生が「今日はみんなで、最後にひなまつりの歌を歌いましょうね」とおっしゃっていたので、みんなで歌うことに!皆さんノリがよく「灯りをつけましょぼんぼりに~♬」と楽しく歌いました。

「懐かしい歌でも、みんな歌詞をよく覚えているものね」と枝川先生。

ちらし寿司と止椀が運ばれてきます。
「野菜ちらし寿司の上に飾ってありますのは、こごみ、たけのこ、どんこ椎茸、花蓮根、とびこ、花びらの形に作った生姜、にんじん、百合根でございます。そして、少し筒状のピンクの物が見えると思いますが、これは芽蓮根といって細い蓮根です。横から見ますとちゃんと穴が開いております」という説明に、「本当だ、穴が開いてる」「芽蓮根なんてあるのね」。と新しい食材を楽しんだ皆さん。

△野菜のちらし寿司と止椀

室礼講座で枝川先生から、「寿司という言葉は“寿”を“司る”と書き、めでたい時に作ります。ちらし寿司には黒、赤、黄、白、緑の五色の食材が入っていて、中国の陰陽五行説の五色を表しているんですよ。もちろんそれぞれの食材には、おめでたい意味があります」と教わったので、色を確認しながら食べている方も。

最後はデザート。クレームブリュレを和風に黒胡麻ソースで仕上げたプリンをいただきました。


△黒胡麻プリン

井坂料理長が質問に答えます

料理を終えた井坂料理長が再び登場。ここからはご参加の皆さんから井坂料理長への質問タイムです。普段のお食事では、なかなか料理長と話す機会はないので、たくさんの質問が飛びます。

「蓬豆腐の蕗味噌のソースはどう作るのですか?」と質問した方は、蕗味噌をまず油で揚げてから出汁で油抜きをし、細かく砕いて胡桃と一緒に味噌にしていると教わり、「油で揚げているからコクがあるのね」と細やかな手間に納得のご様子。

「ちらし寿司の芽蓮根を始めて見てびっくりしました。自分で作る時に使ってみたいのですが、市販されていますか?」という質問には、

「芽蓮根というのは蓮根の新芽の細い部分です。私たちは梅酢で漬けてピンク色にしています。梅酢で色が薄ければ紫キャベツを梅酢に漬けると赤味がさらに出ますよ。私たちは自分たちで漬けますが、たぶん酢漬けが市販されていると思います」とのこと。

室礼を学んでいる皆さんらしく、器についての質問も飛びました。

「前肴のお雛さまの器は、特注品ですか?自分でも買ってみたいなと思いまして」。

「元々は京都の京焼ですが、京焼は、お店で使うには柔らかい陶器なので、岐阜の美濃焼で同じように型を作ってもらい、硬めに焼いてもらいました。京都、岐阜 美濃あたりにあると思います。もしかしたら有田焼にもあるかもしれません」。

他にも、お椀の出汁の取り方への質問や、おいしくいただいたという感想などが寄せられました。

最後に枝川先生が監修された、日野市のはごいた本舗の「ひぃなまんじゅう」のお土産をいただき盛会のうちにお開きとなりました。

帰りは、フォレスト・イン昭和館のロビーのひなまつりの室礼を見ながらお帰りになる方も。枝川先生の作品です。講座で紹介された流しびなもありました。


ご参加の皆さま、ありがとうございました!

枝川先生の室礼講座と車屋の行事食は、次回は10/16(水)に「重陽の節供」を行います。どうぞお見逃しなく。